スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

戸籍簿の自治体の庁舎外保管について、現行法令上特段の障害は存在しない

去年3月のエントリーで南三陸町の戸籍データ消失についてメモという内容の記事を書きましたが、一部訂正が必要です。

訂正前

戸籍の保存場所については、戸籍法の中で、正本は役所に備え、副本は法務局が保管せよ(8条2項)とガチガチに定められていて、自治体がクラウド化をしたら法律違反になってしまう。


↓訂正後

戸籍簿の自治体の庁舎外保管について、現行法令上特段の障害は存在しない


えらい違いですな。すいません。

訂正の根拠は、「情報通信技術利活用のための規制・制度改革に関する専門調査会」の報告書です。この中に、「また、戸籍の電子化のように、現行の制度の下で庁舎外での管理が認められているにも関わらず、自治体の間で知悉されていない場合もあった」との記載があるからです。

まあ要するに、自治体の勉強不足で戸籍の電子化が進んでいないということらしいです。むかつきますね。

以下、細かいので興味ない人は飛ばしてください。


そもそも法令の規定の文言のみを解釈すると、戸籍の庁舎外管理は認められない。でも、これではいろいろと不都合があるので、いろんなところが法務省へ照会をかけました。法務省は、その照会に対する回答という形でガチガチの規定を徐々に緩めていきました。

具体的には、

他の市町村に戸籍の記録の管理を委託し、委託市町村の端末から委託市町村の電子情報処理組織に接続することによって戸籍事務を行うことが認められたケース。(平成14年4月1日付け民一第835号回答)

市町村から一部事務組合又は広域連合に事務委託を行うことにより、一部事務組合又は広域連合に設置されている中央処理装置において戸籍記録の管理をすることが認められたケース。(平成16年8月11日付け民一第2253号回答)(平成15年9月16日付け民一第2792号回答)

電子化された戸籍情報のバックアップの市役所庁舎外の遠隔地民間施設への保管委託が認められるようになったケース。(平成19年6月14日付け民一第1279号回答)

しかし、このように個別の事例に対する回答という形で運用を変えていくというやり方は、自治体にとってはやりづらいものです。

その後、「情報通信技術利活用のための規制・制度改革に関する専門調査会」が開催されました。これは、情報通信技術の利活用を阻むような規制・制度・慣行などの洗い出しを行うという目的の調査会のようです。その中で、この戸籍の電子化問題が話題に上ったらしく、委員会から法務省に質問をしました。その回答がこれです。

ア 戸籍簿を市区町村の庁舎である建物以外の場所で管理することの可否については,例えば,以下のような観点から,①プライバシー上の問題が発生しないこと及び②戸籍法等の関連法令に違反していないことを判断することになるものと考える。
(ア) 戸籍情報を現実に管理する者との間で締結された約款等を通じて,市区町村長が戸籍事務を遂行するに当たって必要な措置について,市区町村長が自ら庁舎内で戸籍情報を管理する場合と同程度に行使することができることが担保されていること。
(イ) 戸籍情報を管理する電子計算機について,①入退室を管理するために必要な措置が講じられている場所に設置されていること,②外部からの不正なアクセスを防止するために必要な措置が講じられていること,③正当な権限を有しない者によって作動させられることを防止するための措置が講じられていること,④停電や災害の被害を容易に受けないように措置が講じられていること等,戸籍情報の保全について適切な対応がとられていること。


一応、一般的な基準のようなものが示されましたね。今後はこの基準によって、戸籍簿の庁舎外管理の可否が判断されることになるでしょう。

しかし、そもそも施行規則7条の規定があるのに、こんな解釈をするのは無理がありすぎます。

本来ならば施行規則7条を廃止するのが筋だと思います。それをせずにちまちまと趣旨解釈を繰り返して指導するというのは予見可能性という面でいいやり方だとは思いません。


(参考)
戸籍法施行規則第七条  

戸籍簿又は除籍簿は、事変を避けるためでなければ、市役所又は町村役場の外にこれを持ち出すことができない。
○2  戸籍簿又は除籍簿を市役所又は町村役場の外に持ち出したときは、市町村長は、遅滞なくその旨を管轄法務局若しくは地方法務局又はその支局に報告しなければならない。




スポンサーサイト

テーマ : 地方行政と政治 - ジャンル : 政治・経済

南三陸町の戸籍データ消失についてメモ

今回の震災によって、南三陸町の戸籍データが消失した。周回遅れもいいところのニュースだけど、自治体の職員として今後の資料用にメモしておきます。

南三陸町の戸籍データ消失、法務局保存分も水没 (2011年3月20日03時03分 読売新聞)

東日本巨大地震で被災した宮城県南三陸町で、戸籍の全データが津波で消失した可能性が高いことが19日、明らかになった。

(中略)

南三陸町は戸籍を電子化して保存していたが、今回の地震で庁舎全体が壊滅状態となった。データは仙台法務局気仙沼支局(宮城県気仙沼市)でも保存していたが、同支局のシステムも津波で水没。他の法務局や自治体とデータを共有する仕組みはなく、同町の戸籍データは完全消滅した可能性が高くなった。今回の地震で、戸籍を管理する自治体と法務局両方のデータが消滅したのは同町だけだという。


1.戸籍とは
Wikipediaによれば、戸籍とは、戸と呼ばれる家族集団単位で国民を登録する目的で作成される公文書だそうです。解りづらいので、僕なりに言い換えると、誰々の妻は誰で、その子は誰で・・とかいう身分関係を証明するのが戸籍。

よく混同されるのが住民票。住民票にも「世帯主」なんて記載があるから戸籍との違いが解らなくなるのも無理はない。でも、住民票はどこに住んでいるのかといった居住関係を証明するもので、親族などの身分関係を証明する戸籍とは性質が全然違うのだ。ということで、戸籍がなくても住民票があればいいじゃん!というのはちょっと無理がある。

とにかく、戸籍は身分関係の証明なので、これがないと相当不便だ。まず、結婚が出きなくなる。あと、今回の震災では多くの方が亡くなったけど、戸籍がないと死亡届による戸籍の抹消やら火埋葬許可証の交付などが出来なくなる。しかも、親族関係を証明することも出来ないから、残された子どもが財産を相続することもできないことになる。

2.消失の責任は誰に?
こんな大事な情報だからこそ、今回の消失のニュースが非常にインパクトがあったんだけど、ネット上の意見を見ていると、そもそも南三陸町のデータ保管方法について疑問を呈していた人が多い。

・なんで今時クラウドじゃないんだ?
・バックアップデータは、同一災害に遭う可能性が低い地域に保存してこそ意味がある。気仙沼に置くなんてなんてマヌケなんだ?・・とか。

しかし、この批判を南三陸町に向けるのは見当違いだ。戸籍の保存場所については、戸籍法の中で、正本は役所に備え、副本は法務局が保管せよ(8条2項)とガチガチに定められていて、自治体がクラウド化をしたら法律違反になってしまう
(すいません。この部分は訂正します。詳細はこちらを確認してください。2012/01/27)

今回の戸籍消失で責めるべきは、法律に従ったバックアップをしていた南三陸町ではなく、そもそも時代にそぐわない保存方法を規定している戸籍法そのものであるべきだ。もっと言うと、住基ネットのゴタゴタにびびって戸籍法をほったらかしていた法務省が一番悪い!!

3.日本人への成りすまし
ネット上を見ていると、戸籍を再作成する際に、どさくさに紛れて外国人が日本人に成りすましするんじゃないの?という意見も多かった。

僕は市民課の人間ではないので、正確な実務はわからないけど、これは現実的には中々難しいのではないかと思う。仮に外国人が俺は日本人だ!と主張しても、日本人なら住基ネット上に本人確認情報が存在しているはずなので、ちょっと調べればしょうもない嘘はすぐばれるからだ。

ただ、難しいのが自分は外国で出生した日本人なんだと主張されたとき。出生届を南三陸町に送付してたのに!と言われた場合だ(しかもパスポートは持ってないケース)。これをどうやって防げばいいのかはよくわからない。日本人であるためには両親のどちらかが日本人じゃないとダメだから、両親のパスポートを提出してもらうのかな?というかこんなケースはありえないのかな?

ま、この点は、戸籍簿が全部なくなった場合には、法務局がその再製又は補完の方法を考える(戸籍法施行令9条)ってなってるから、法務局の出す案に期待することにしよう。

4.現在の状況
この記事を見ると、建物の中に約1年前の副本データが残っていたとのことで、今回はこれでかなりの部分は復元可能だね。でも最終的に全部復活するかは微妙なので、今後とも見守って生きたい。
津波で消失した南三陸町の戸籍データ、副本発見 (2011年3月22日18時23分 読売新聞)

あと南三陸町のHPを見ると、戸籍の受け付けを再開したそうです。がんばれ南三陸町!
緊急情報 : 東北地方太平洋沖地震に係るプレス発表資料 (南三陸町HP)

・取扱業務
1 住民票・印鑑証明書の発行
2 転出・転居の受付
3 戸籍の受付(出生届、死亡届、火葬許可書など)
4 各種相談(健康保険証など)



テーマ : 地方自治 - ジャンル : 政治・経済

(雑感)自治体クラウドは夢をかなえる魔法の杖か(1)

1.自治体クラウドってどうなの?

最近、「自治体クラウドってどうなの?」という話題が良く出るようになった。

周りの市町村では、基幹系システムの更新を控えているところも多く、総務省の動向が気になってしょうがないようだ。

原口ビジョンⅡ当時のニュアンスでは、自治体クラウドとは、1700以上ある自治体で個別に運用している行政情報システムを統合・集約する壮大なプロジェクトっぽく見えた。

国は全国で統一された標準システムを用意し、各自治体はスケールメリットを生かした安価な利用料でそのシステムを利用する。

厳しい財政状況に苦しむ自治体にとっては、まさに救いの神。

しかも、総務省も本気で自治体クラウドに力を入れている。

原口大臣は、行政管理局長と自治財政局長をちゃんと巻き込んで「自治体クラウド推進本部」を設置したし、片山さんが大臣になった後も予算は縮減されることなく事業は継続。

そんなこんなで各自治体は、これは「夢をかなえる魔法の杖」になるのでは?と期待した。

2.自治行政局と総合通信基盤局(あるいは旧自治省組と旧郵政省組)

ところが、よくよく話を聞いてみると、「自治体クラウド」は期待はずれなものになりそうだ。

まず、総務省の中で自治行政局と総合通信基盤局(あるいは旧自治省組と旧郵政省組)の派閥争いらしきもの(?)が存在するらしく、最終的な自治体クラウドのあるべき姿がボケてしまっている。

例えば、総合通信基盤局の人が自治体クラウドの話をすると、すぐ大容量回線の話になる。大容量回線が重要ではないとは言わないが、回線の整備よりももっと重要なのは、自治体間の業務の標準化であることは現場の人間からすれば自明のことなのに、あまりにやっつけ的な検証ででお茶を濁そうとしている。
「Webによる行革可能性検証」

かといって、自治行政局の人の「自治体クラウド像」が、現場の人間に好印象であるかというとそうでもない。

自治行政局の人が目指す自治体クラウドを一言で表すと、なんのことはない「都道府県単位での自治体システムの集約・共同利用」の推奨という感じだ。

つまり、標準化については特に国は関与しません。都道府県内の自治体で話し合って決めなさいというわけだ。

肝心なところはまたしても地方に丸投げ。まあ、丸投げは国のお家芸なので、ある意味予想通りではあるんだけど。

(眠くなったのでつづきはまた今度)

テーマ : 地方自治 - ジャンル : 政治・経済

自治体による第4世代データセンターの誘致合戦が激化

1.鼻息荒い北海道

北海道でデータセンター誘致が激化しているらしい。

「冷涼」「安い土地」、北海道でデータセンター誘致激化 (2010年10月6日 読売新聞)

北海道が誘致に熱心な理由は2点。

まずは地価が安いこと。次に気候が冷涼なためサーバー冷却のための電気代が安く済むということだ。

しかも、最近国土交通省がコンテナ型データセンターに対する事実上の規制緩和を行ったという追い風もあって、北海道各市の鼻息は荒い。

しかし、せっかくやる気になっている北海道の人たちには申し訳ないが、冷涼な気候はデータセンターにとってはマイナスであるというのが最近の流れだ。

むしろ、温暖な地域にある自治体こそがデータセンターの設置場所に有利なのである。

2.空調温度は27℃

通常、データセンターの室温は21℃以下に設定されるのが一般的だが、低すぎるのも問題だ。結露の危険があるからだ。

しかし、何よりも冷やしすぎは電気代もかかるし、昨今のCO2排出規制強化の流れもある。最近は出来るだけ電気代をかけない空調が模索されてきた。

そんな中、何万台ものサーバーを抱えるグーグルが、自らのデータセンターの空調温度を公表した。

「データセンターの空調は27℃で十分」――グーグル幹部が語る省電力対策 (2010年05月31日 COMPUTERWORLD)

簡単に言うと、重要なことは実際にセンターに格納されるハードウェアの定格吸込温度であって、その値が32℃であるなら、27℃の空調であっても充分に対応できるということらしい。

つまり、とにかく冷やせばいいという時代ではもうなくなったというわけだ。

そうであるなら、冷涼な地域は競争力があるとは言えないし、零度を下回る時期の暖房コストを考えると、逆にデータセンターの設置場所としては不利であるとさえ言える。

むしろ、寒暖さがあまりない地域のほうがデータセンターの誘致に対しては競争力があることになる。

実際、国内初の外気空調のコンテナ型データセンターは島根県松江市だし、つい先日、Yahoo! JAPANが福島県白河市に外気空調型データセンターを建設すると発表したところだ。

Yahoo! JAPANが福島県に外気空調型データセンター、2012年春竣工 (10月8日 INTERNET WATCH)

3.自治体クラウドの動向

ここで少し話がそれるけど、今総務省は自治体クラウドに力を入れている。

総務省が考える自治体クラウドというものは、「自治体の業務システムの集約と共同利用」であり、その範囲は都道府県がイメージされている。

(これについては僕は異論があるんだけどそれはまた別の機会に)

つまり、市町村のシステムを都道府県単位でひとつに集約し、それを共同利用することで割り勘効果による費用削減を測りましょうということだ。

この総務省の自治体クラウドが動き始めると、全国の色んなところに第4世代データセンターを用意しようという動きになるかもしれない。あくまで「かもしれない」だけど。

4.まとめ

最後にまとめ。

別に冷涼な地域がデータセンターに有利なわけではない以上、地価さえ安ければ北海道に限らず本州の自治体だってデータセンターを誘致できる。

しかも、自治体クラウドの動向を考えると、田舎のデータセンターに対する需要は高まると思われるため、頑張って誘致しても誰も使ってくれないということにはなりにくい。

これらの事情を考えると、もっと日本中の色んな都道府県がデータセンター誘致に積極的になっていいと僕は思う。

都道府県の電算課、企業立地課の人は一度は検討してみるべきなんじゃないかな。

ちなみに、データセンターの誘致に競争力を持つ地域としては、発電所をもっている地域だと僕は思う。

発電所の近くにデータセンターを設置させ、送電コストが浮く分を電力料金補助として優遇するなんてのはどうだろう。

(実際、松江市はそうしているらしい)

そうすれば企業は喜んでデータセンターを設置してくれると思うんだけど、どうなんだろうね。

テーマ : 地方自治 - ジャンル : 政治・経済

(総合通信基盤局)光の道vs自治体クラウド(地域力創造グループ)

原口総務大臣が観念したようです。

「光の道は必須」、原口総務大臣が最後?の政務三役会議

 「光の道は必須。人事がどうなるかは分からないが、次の人(総務大臣)にも引き継ぎたい」---。

原口一博総務大臣は2010年9月16日に開催した総務省政務三役会議(写真1)でこう話し、2015年にブロードバンドの利用率100%を目指す「光の道」構想について改めて強いこだわりを見せた。


自分の更迭の前に、重要案件の引継ぎを指示したっぽいんだけど、いやいや原口さん。光の道もいいんだけど、自治体クラウドのほうもお忘れなく。

というか、個人的には光の道なんかより、自治体クラウドを先に目鼻を付けて欲しいと思ってます。今日は自治体クラウドについて面白い噂を耳にしましたのでご紹介をば。
(今回の内容はあくまでチラ裏です。あしからず。)

・・・

自治体クラウドってのは、以前、自治体クラウドの行く末に書いたとおり、本気で進めれば、かなりのコスト削減が見込めるものなんだけど、色々あってなかなか前へ進んでない(ように見える)し、情報が錯綜しまくっている。

その原因として、いまチマタで言われているのは、「電子自治体事業(含む自治体クラウド事業)」を進める「地域力創造グループ」と、「光の道事業」を進める「総合通信基盤局」の2つの組織の仲が悪いから、ということらしい。

というのも、そもそも組織上の役割分担からすれば、地域力創造グループが自治体クラウドを進めるのがスジ。

でも、自治体クラウドを導入すると、大量のデータが市町村間を駆け巡ることになる。となると、自治体クラウドを導入する前に、その基盤としての高速ネットワークが必要じゃねーの?

と、こんなロジックで、総合通信基盤局というところが、相当ちょっかいを出してきているらしい。

先月末の地方自治体向けの自治体クラウド説明会では、地域力創造グループの人と総合通信基盤局の人の両者が、それぞれの説明資料を持ってきて、それぞれがバラバラの説明をしたというから、やれやれという他ない。

僕個人としては、自治体クラウドを導入するために、まず高速ネットワークを整備するという考えには全く賛成できない。

例えば、鉄を作ったから何か作れというのと、TVが売れるから鉄を作れというのでは、後者のほうが効率がよく産業は発展すると言われている。今回、総合通信基盤局の人間がやろうとしていることは、前者のやり方に似ている。

小沢一郎じゃないけれど、総合通信基盤局の人には静かにしておいてもらいたいところだ。


テーマ : 政治・経済・時事問題 - ジャンル : 政治・経済

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。